グローバリゼーションについて改めて考える その2:グローバリゼーションの始まりはいつか?
前回の「その1:グローバリゼーションはどんな概念か?」では、グローバリゼーションが一体どんな概念であるかということを、internationalization(国際化)と比較して考えてみました。
- globe(地球)+ization(~化)=地球化
- 国と国とが集まる(国際)のではなく、国と国とが一つにまとまろうとする動き
これがグローバル化の概念である、という振り返りでした。
今回のテーマは、
グローバル化はいつ始まったのか?
これを読んでいる方は、どう考えますか? 何がグローバル化を引き起こしたのか、起源なのか。
テクノロジーの発達によって人の移動が容易になったことが始まりだ、戦後の経済的相互依存のシステムが原因だとか、あるいは最もありそうなところで、インターネットの登場、なんてことが言われるかと思います。
「その1」でもちょろりと取り上げたのがこの本なのですが、
Globalization: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)
- 作者: Manfred Steger
- 出版社/メーカー: OUP Oxford
- 発売日: 2013/04/04
- メディア: Kindle版
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グローバル化の起源をめぐる説は大きく5つに分類される
- 先史時代(紀元前1万年~前3500年)
- 前近代(起源残3500年~1500年)
- 近代(1500年~1750年)
- 現代(1750年~1970年)
- 現在 (1970年~)
この本を読んだ当時、「えっ、そこまでさかのぼるの!」という驚きが僕にはありました。しかし、現在のモノ・技術や過去のそれにルーツを持つものであり、それらはまたさらに昔のものを起源とし……というような性格を考えると、ひとまず因果の連鎖(chain of causation)を遡る必要があるなと感じました。
現代におけるインターネットやジェット機の開発は、前時代の蒸気機関やテレフォン、テレグラフ、フォノグラフの上に立っている。これらもさらに前の時代の活版印刷や火薬、遠洋航行船などの発明がもとである。これらもさらに前の時代での紙の製造、文字の発達、車輪の発明にまで起源をたどることができる。さらにさらには、酪農業による食糧生産技術の進歩、そのまたさらには言語の発生、人類の新天地への移住、なんていうところまで遡ることができます。
果てしないお話です。でも、全部が繋がって、現在の人間の社会が存在していることは否定しようがありません。
グローバル化の概念が「一つにまとまろうとする動き」であることから考えると、これら1~5の時代における出来事が全てグローバル化に含まれ、人類の誕生や地球の誕生の瞬間から今に至るまでをグローバル化と捉えることも不可能ではないかもしれません。しかしそれではあまりにも膨大すぎるし、横暴すぎます。
グローバリゼーションはいつ始まったのかという問いに対する答えは、
答えは、因果の連鎖をどこまで遡るか次第
それぞれの時代には、その時代における社会情勢や技術などによる特徴があり、歴史の中で果たした役割があります。それらを区分して捉え直していくことで、改めてグローバル化がどんなものであったのか、ひいては現代社会の特徴・問題点というところにまで視点を広げることができると思います。
◆ ◆ ◆
今回はその2としてグローバリゼーションの起源について深く掘り下げていくつもりだったのですが、ざっくり概観を述べて力尽きてしまいました。
僕自身がこのテーマについて去年の授業で議論した際の感想は、グローバリゼーションという言葉がもつ歴史、奥深さ、原初まで遡るダイナミクスに圧倒されてしまいました。現在の政治経済、社会基盤の根底にはこんなに複雑なものがあったのか!
次回は個別の時代1~5に沿って、順々にまた振り返ってみたいと思います。