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グローバリゼーションについて改めて考える その1:グローバリゼーションはどんな概念か?

globalization。グローバリゼーション、グローバル化。ずいぶんよく聞く言葉です。大学では国際政治を専攻しているので、書籍や論文の中でもたびたび、あるいはニュースを見ていたり、社会系のブログを読んでいても頻繁に遭遇します。

昨今の社会・国際情勢におけるホットワードであり、ひも解く上での大きな役割を果たすものであると感じることが多々あります。これまでの学習を振り返りつつ、自分自身の認識を改めてまとめてみたいと思います。


まずは、

そもそも"globalization"はどのような概念なのか

「国際化」「国と国どうしの繋がりがより深くなること」「文化の西洋化」なんかが、よくある認識なんじゃないでしょうか。
グローバル化が進展する昨今、産業競争力の強化が必須である」、とか「グローバル化が進み、国際的な人の移動が活発化している」だったり、「世界どこでもマクドナルドが進出しており、食文化の西欧化が進んでいる」だとか。

※「グローバル化」、「グローバリゼーション」はともにglobalizationの日本語訳であり、区別はありません。

一つにまとまろうとする動きがglobalization

国際政治系の講義で真っ先に言われたのは、"international"と"global"のちがいでした。"globalization"を「国際化」と訳す向きもあるのでしょうが、それだと「では、international(国際化)との違いはなんなのか」という疑問に直面します。

その答えは、単語をさらに分解してみると一目瞭然。
inter(~間の)+national(nation:国)+ization(化)=国と国どうしの間、国際化
global(globe:地球)+zation(化)=地球化

internationalization(国際化)が国と国どうしを分け隔てたつながりに向いているのに対し、、
globalization(地球規模化)は国と国との隔たりを超えて「地球」として一つにまとまろうとする動きであるということです。国家・国境の存在が弱まった、地球規模のまとまりを指す言葉となります。「ボーダーレス化」といえるかもしれません。


トンデモ論にはなりますが、いわゆる世界政府のような存在、あるいは「宇宙人が攻めてくれば地球は一つに団結する」というようなフィクションを想像してもらえば、国と国という枠ごとの集団である国際とは全く違った状態を指しているということが分かりやすいかと思います。

ひょっとしたら、

  1. 地方:ローカル
  2. 国家:ナショナル
  3. 国際:インターナショナル
  4. 地域:リージョナル
  5. 地球:グローバル
  6. 惑星:プラネタリー

なんて、グローバルの次には惑星、銀河系、宇宙、のように続きがあるのかもしれません。


世界規模での動きを捉える重要なキーワード

なぜ「今」、このキーワードを捉え直したいかというと、globalizationという言葉は、現在世界規模で行われている様々な動きを理解する際の大きな手助けになると感じているからです。

  • "地球規模"で起こっている地球温暖化・環境問題への対策
  • EUにおける統一通貨・議会を導入することで国と国同士が一つにまとまろうとする動き
  • 東南アジア地域におけるASEAN共同体の設立を目指す動き
  • 日本にも深くかかわるTPP(太平洋州地域を一つにまとめた経済圏の設立)


政治、経済、環境だけでなく文化やイデオロギーなど様々な側面があることから一概には言えませんが、これらはどれも、グローバル化(地球規模で一つにまとまろうとする動き)に関わっているものであると言えます。

昨今の国際政治・経済の動きは、国と国どうしが繋がりを深める国際化の動きではなく、国と国どうしが一つにまとまろうとする動きであるグローバル化(地球規模化)が特徴であることを意識しています。


        ◆ ◆ ◆


今回はざっくりとglobalizationがどのような概念であるか、他との違い、ということを振り返りました。まとめてみると自分でもいい復習になりますね。

これらに対する賛否であったり、そもそもグローバル化の始まりはいつなのか、などなど、議論のネタはつきませんが、ひとまずこれぐらいにしておいておきます。次回はグローバル化の起源、始まりはいつなのか、なんなのか、ということを振り返ってみます。



Globalization: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

Globalization: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

こちらは去年授業で取り扱った文献です。
"very short introduction"というシリーズの一つで、日本でいうと新書のような、あるテーマをざっくりと一般向けに説明するという趣旨の本になっています。