暮らし記

ふたり暮らしの記録。

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短歌の魅力 NHKの「第27回全国短歌フォーラム」を観た

突然ですが、今日は短歌のお話。きっかけは10月26日、ついこないだの土曜日です。日中、ご飯を食べる間に何か観ようとテレビをつけてみたところ、「第27回全国短歌フォーラムin塩尻」というものをやっていました。
たった3,40分を見ただけなのですが、あっという間に、短歌に魅了されてしまいました。

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ごちゃごちゃ語る前に、「すごい!」と感じた作品を、紹介してみたいと思います。

自由題 入選 長野県塩尻市  雨宮 かず子
わが家の鼠ちょろりと顔を出し餌も運ぶが酒も飲むらし

自由題 入選 東京都江東区 小藤 和子
試合終へポニーテールをばさり解く少女はあどけなき面輪になりて

優秀作品 長野県松本市 守屋 久見子
家持に恋しています現身の人にあらねば物怖じもせず

最優秀作品 長野県岡谷市  今井 紀子
温かい泥に潜つてどぢやうのやうに眠つてゐたい古里の川

全てこちらから引用させていただきました。http://www.city.shiojiri.nagano.jp/tankakan/tankaforum/27kainyusen.html


あくまでご飯を食べる間のつなぎのつもりで見始めたのですが、ご飯食べるのそっちのけで見入ってしまいました。どうでしょうか。

短歌はお堅くない

僕がちょうどテレビをつけて、次に紹介されたのが一番上の鼠の歌でした。短歌って、百人一首のような文語で古めかしい言葉でお堅い、というイメージばかりを持っていた僕は、ものすごい衝撃を受けました。こんな陽気な短歌もあるのかーと。この歌を作った人には「ねずみちゅーちゅー可愛いでちゅ」なんて想いがあったのだと思うのですが、それを直接言葉にするのではなく、歌にすることで、こんなにも愛らしいイメージになるんですね。

短歌は想いを十二分に表現する

例えばポニーテールの歌。僕がこの歌を聞いて、「爽やかな印象」を受けました。こんな情景が浮かびます。からっと晴れた青空に浮かぶ白い雲、鮮明な情景。試合に集中していた真剣な表情がまだ残る試合終了直後、額に浮かぶ汗。コートから出てきてポニーテールをばさりと卸す。と、途端に年相応のあどけない表情があらわれる……。

僕なんかは「爽やか」の一言で表現してしてしまいそうなところですが、それじゃなんにも伝わらない。かといって言葉を尽くして説明しては、ただの状況説明になってしまって「爽やか」を感じることがない。味がない。

5・7・5・7・7という短い枠の中で言葉を尽くすことで、情景を描写し、単に一言「さわやか」という以上の爽やかさを演出している。単純に、すごいなあと感じます。


言葉を尽くしても語りきれない「何か」を表現してくれる

テレビで最優秀作品が発表された瞬間、思わず「ははーっ」と唸ってしまいました。

最優秀作品 長野県岡谷市  今井 紀子  
温かい泥に潜つてどぢやうのやうに眠つてゐたい古里の川

これぞ幸せの風景だ、と感じずにはいられませんでした。

例えば、木漏れ日の下でそよ風を感じながら読書をするだとか、公園のベンチで温かい陽射しを受けてのんびりと過ごすことだとか。暖かいところでのんびりと過ごしたい、という想いはきっと誰もが持っているのではないかと思うのです。それって、いくら言葉を重ねても表現しきれないものです。だけどこの歌は、そんな思いに質感を与えてくれているような気がしました。
5・7・5・7・7・という制限の中でだからこそ、できることなのでしょう。



ここで述べたことは全く逆のざっくりしたまとめになってしまいますが、言葉の力を改めて感じました。短歌、これからもみていきたいです。